2019年08月29日

 

近年、全国的な人口減少により地方の空き家増加が社会問題となっています。
その解決の糸口として石巻で注目を集めるのが”イシノマキオモシロ不動産大作戦”です。

今回は8月20日に行われたイシノマキオモシロ不動産大作戦 マッチングコース 開講式の様子をお届けします。

まずは巻組代表の渡邉さんからオモシロ不動産大作戦、全体の説明が始まりました。

 

 

全国的にもそうですが石巻でも老朽化などの問題でなかなか賃貸として貸すことや売却もできず、取り壊しにも大きな費用がかかるのでそのままの状態で放置されている物件が目立ちます。
そんな物件を抱えた大家さんと、なにかを始めようとしている事業者さんと結び、空き家活用の可能性について先駆者から学んで実践していくのがオモシロ不動産大作戦です。

今回のマッチングコースの他に、具体的な事業を始める予定がある参加者と共に事業をブラッシュアップするためのスタートアップコースが用意されています。
https://www.makigumi.org/blank-5

 


 

開講式のゲストは株式会社See Visionsの東海林 諭宣さん。秋田で行っている空き家活用の先進的事例をお話しいただきます。

 

 

東海林諭宣 氏
(株)See Visions(株)Spiral-A
​1977年、秋田県出身。東京で就職し、その後2拠点Uターン。2006年に秋田市にて「(株)See Visions」を設立。店舗、グラフィック、ウェブなどに関わるデザインや、企画・運営を手がける。
近年では「(株)Spiral-A」を設立し秋田市中心部で飲食店「酒場カメバル」、「亀の町ベーカリー」、飲食雑貨店「亀の町ストア」を運営。自社が入居する2015年のヤマキウビルリノベーション事業を機に着手した、ヤマキウ南倉庫を2019年6月にオープン。リノベーションによって町の魅力を引き出す活動を精力的に行っている。
http://www.see-visions.com/

 


 

 

秋田出身で上京しグラフィックデザインの仕事をしていた東海林さん。入社当時60店だった店舗を3年で360店舗に拡大するという、大変な時期を経験されたそうです。「元々住居や料亭だった場所を店舗にするということを会社が面白がって当時から行っていました。このときにやっていたことが現在の活動にもつながっているかなと思います。」その後、フリーランスを経て秋田に戻り2006年に株式会社See Visionsを設立。現在は他にも飲食店を経営する株式会社Spiral-Aやシェアオフィスも運営されています。 主な事業内容はグラフィックデザイン、WEB制作、出版、イベント企画、そしてリノベーションです。

 

 

秋田に戻ったときに”行ったことの無い都道府県1位”、”少子高齢化率1位”、”人口減少率1位”、”婚姻率ワースト1位”などの、あまり良くないランクングに秋田県がノミネートしていることに衝撃を受け、自分で街を楽しくしていこうと思いまちづくりをしていくことに決めたそうです。

人口増減のグラフを使っていままで増えていた人口が近年急激に減って来ていることに触れます。すると必然的に人口に対して物件が多くなって来ているので、空き家が必然的に増えてくることがわかります。

「古い物件がどんどん余っているのを見て、物件を使って自分たちでなにか遊べるのではないかと感じました。」

大学生の頃バックパッカーとして世界を見て回った東海林さん。小さなお店が密集してオーナーさんと気軽に話ができたり、隣に座ったお客さんと話ができるような環境に心を惹かれました。秋田にもそんな環境が必要だという思いもあり、”やるべきこと” ”やりたいこと” ”できること”の3つが同じ方向を向いたので自分でやってみようと今の取り組みを初められました。

 

 

「1階が楽しい街というのは楽しい街だと考えているので、まずはそこから初めました。無いものは無いので空き店舗をリソースとして考えながら、色々なことに取り組んで来ました。」

中心市街地から少し外れた場所で、見放されたような築60年ほどの2店舗がつながった空き家を見つけます。7,8年間借りられていなかった状況でしたが、雰囲気がいいと感じ、ここで飲食店をやろうと決めます。実際に借りてからリノベーションを行って行きましたが、中の部材はボロボロでほとんど壁で立っているような状況だったそうです。そして出来上がったのが”カメバル”です。
http://www.see-visions.com/contents/gallery/archive/2014/01/gallery-318.html

この場所をオープンすることで、これまで訪れななかったような若い年齢層も訪れ、夏には店の前の私道に広がり賑わいを見せています。

2店舗目を探しているとき、カメバルの目の前の店舗に空きができたので、その物件も借りてお店を作っていきます。

「お店を作って感じたことは、誰もが集まることができる拠点を作ることが大切だということ。バルに集まった人たちで自分のスキルの話をしたり、自分の思い描いている街の景色を話したり、カウンターで文化が広がっていくのを感じています。」

 

 

新たに3店舗目と自分たちの事務所を探しているときに、カメバルから50メートルほど離れた場所にヤマキウ商店という3階建ての使われていなさそうなビルを見つけます。そこを使えばこのエリアがもっと面白くなると確信し、オーナーさんに交渉を挑みますが、はじめは話を聞いてもらえませんでした。そんなとき、偶然話を取り持ってくれたのがオーナーの息子さん。実はこの場所は大型資本のスーパーマーケットに売却する予定でしたが、息子さんの思いや自宅が近くにありずっと住んでいた地域の一部であることから、この場所を売却してしまってもいいのかという不安があったそうです。建物をそのまま使わせてほしいという提案がついに受け入れられ、なんと投資もしていただけることになりました。

1階をカフェとベーカリー、雑貨品やお酒を販売できる”亀の町ストア”という店舗に。地域の方が気軽に来られるような環境にしました。2階は貸オフィス、3階を自分達の事務所としてスタートしました。
貸しオフィスは東海林さんの仲間たちが入居し、100%埋まっている状態からスタートしました。

ビルのリノベーションを行う際、ビルのすぐ横にある大きな倉庫もなにかに使ってくれと託され、そちらも2018年から着手します。なんと一般募集はせずとも、中に入る16社が入ることが決まりました。

初めは融資や補助金を使う予定でしたが、そのうちの一つが通らず建物の一部が使えない状態でスタートする予定でした。しかし、オーナーさんが「いいものを作らなければ意味がない」と後押しをしてくださり、なんと費用を全額を投資してくださる事に。

オーナーは「投資じゃない、地域貢献だ」と、活動を応援してくださったそうです。

このヤマキウ南倉庫のテーマは「民間が作る公共空間」です。日常から市民の方々を豊かにする場所へという思いを込めてデザインされています。

1階にはスーパー、雑貨店、アウトドアショップなど日用品からついつい立ち寄りたくなってしまう店舗が並びます。2階には6つのオフィスが入っています。面白いところは、管理が自治会という名目で行われていることです。最低限の管理は行ないますが、それ以外の取り決めについては自治会で決定されていきます。

 


 

◎リノベーションまちづくり

このプロジェクトの考え方として大切にしていることを3つお話いただきました。
リノベーションを通じてまちづくりをしていくとは、今あるモノを新しい使い方をして街を変えていくことだといいます。
「珍しいかもしれませんが、これにはオーナーさんを巻き込むといスタイルが良いと思っています。」オーナーを巻き込んで利回りを高めに設定し、利益をさらにまちに再投資していくサイクルをうまく形成することが大切です。

「その街に住むオーナーにこの街を良くしていきたいという申し出に即座にNOとは言わないはずです。」

また、もう一つ大切なこととして建物単体で考えず、周辺の建物と合わせたデザインや、地域のものなどをうまく変化をさせていくことで町の可能性に繋がると教えてくださいました。

 

 

その他にも秋田県内からいくつか声がかかり一緒に事業計画を考えています。
築100年の古民家を解体してくれという相談を受けた解体屋がかなりいい物件で、解体するのはもったいないと思い東海林さんのところへ。ワインバーに改装。解体屋さんがワインバーの事業をはじめました。

また、築25年の長い住宅をお持ちのオーナーから相談があり、売るか賃貸をするかを悩んでいたところをシェアハウスの運営に変更。

社会の余白を感じて、自分たちが楽しみながら仲間と一緒に作り上げていくことが大切と最後にまとめてくださいました。

 


 

イシノマキオモシロ不動産大作戦は今回の開講式をスタートに今後も展開していきます!
詳しくはこちらのページをご覧ください。
https://www.makigumi.org/blank-5