2019年10月31日

10月5日に行われた石巻版松下村塾の開催レポートです!

塾長・メンターはおなじみ、はまのねの亀山さんとamahoroの蓜島さんです。今回は亀山さんの活動拠点である”はまぐり堂”を貸し切っての開催となり、いつもとは違う展開になりそうです。

ゲスト講師は合同会社おしかリンクの犬塚恵介さん。建築関係のお仕事をされていましたが、牡鹿半島で何かできないかということで「おしかリンク」を立ち上げました。今日はおしかリンクで何をやってきたかよりも、何を大切に思って今までやってきたかと、自分をどうコントロールするかということをお話いただけるとのことです。

 

 

講義を始める前に、まずはIKIGAIダイアグラムというものの説明がありました。これは、日本人の生きがいを外国人視点で研究し、それをダイアグラムとして表したもので4つの項目があり、それが重なり合ったところで日本人の生きがいが生まれるという図です。この図をひと目見れば納得感が在るのではないでしょうか。この図をもとに今日の講義は進んで行きます。

子供の頃からの夢は建築家で、努力と勉強を重ねて建築事務所に所属することがキャリアのスタートでした。入社した当時は先程のIKIGAIダイアグラムだとちょうど真ん中のところだったと言います。得意・好きなことで稼ぐことができ、世の中からも必要とされているというまさに最高の生きがいでした。しかし時間が経つにつれ、組織の一員として働いていることに、やりたいことのギャップが生まれて来ました。そうした時期が続き、2010年に転職を考え始めます。

 

 

会社での経験から自分が主導権を持って日々を過ごして生きて行くことが大切だと感じていました。住宅設計をやりたいと考え始めましたが、なかなかプライベートの時間を使って踏み出すことができない日々が続きました。

そんなときに東日本大震災が起こり、被災地で頑張っている人達を見たときに、自分の踏み出せない気持ちがちっぽけに感じたそうです。

会社を辞め、次の会社に行くまでの約3ヶ月間東北で何かをしようと思い東北に向かったのが、現在の活動のきっかけです。

東北に来てからは建築家の支援ネットワークに加入し、建築計画や行政と民間の意見を繋ぐサポートをしていました。はじめはボランティアをしなければならないという使命感の塊をやっていましたが、徐々に地域づくりが楽しく・好きなことに変わって来ました。

しかし寄付や助成金で活動している団体だったので、継続的に関わりたいと思ったときに自分が食べていくのは難しいと感じました。幸い建築のスキルを持っていたので、個人事業主として外注案件を受ける仕事をスタート。好きなことを行いながら、自分の生業を作りました。

 

 

2015年に「おしかリンク」を設立。長崎県の五島列島おじか島でのツーリズムのワントップ窓口をモデルにしました。ですが、安定的に供給できるコンテンツが少なかったり、交流人口を増やすことがあまり定着していなかったりと、計画不足なところが目立って来ました。そこから考えを整理し、人を呼ぶだけでなく地域の後継者育成に焦点を当てることに活動内容を変えました。

設立当初はおしかリンクで好きなことで世間に必要とされて、得意で稼げることをやっていこうと考えていました。しかし考えても考えても収支の成立が難しかったそうです。助成金に依存していましたが、公共性につながっているのだろうか、自立できるだろうか、計画時点で成立しないのではないだろうかと自問自答を繰り返して来ました。

結果として行き着いたのが、おしかリンクにすべてを求めることをやめることでした。

つまり一つのことでIKIGAIダイアグラムを満たすことを諦めることにしました。稼げないなら、稼げなくてもできる仕組みを考えようと方向転換を始めます。そうして生まれたスタイルが、非営利的な活動・地域のためにという目的で始めた活動はおしかリンクへ。自分が稼げること・得意なことは営利的な活動は合同会社暮らしごとで行っています。

非営利の中でも公益的なものは助成金を使っても良い、そうでないものは自主財産で組み立てるなど、分けて働き始めました、

おしかリンクは年間を通しては動いていません。夏は仕事はありますが、閑散期もあります。それでも良いというふうに意識して動いているそうです。これが犬塚さんの戦略で、やっていて気持ちがいいと語ります。犬塚さんの他にも同じようなスタイルで、春は漁業でしっかり稼いで他の時間は好きなことをする等、活動をしっかり分けている方もいます。「意図的に仕事に取り組むことで好きなことや得意なこと、世間が必要とすることをやっています。そういうのかっこいいなと思って。これが僕のセルフガバナンスです。」

ここで犬塚さんのすばらしい講義は終了です。このあとは蓜島さんと亀山さんと一緒に話を更に掘り下げつつ、質疑応答が行われました。

 

 

講義が終わったあとは、蓜島さんによる”自分の内側に在るものを知るためのワーク”が行われました。個人ワークになり、はまぐり堂と蛤浜を自由に使いながら自分の思いを書き出して行きます。素晴らしい景色と自然に触れることでより自分の考えもクリアに書き出すことができたのではないでしょうか。(この日は風が強く、残念ながら海側にはいけませんでした。。。)

 

 

それぞれの思いを発表してフィードバックを得て、本日の松下村塾は終了です。

次回の松下村塾は11月30日です!

2019年10月09日

とりあえずやってみよう大学(University of Don’t Think Feel 以下 UDTF)が2019年も本格始動しました!
第一回の先生は石巻のラッパー 楽団ひとり先生と、UDTFではおなじみのGensler 飯田昭雄先生です。

2019年初回ということで、入学される皆さんには学生証が渡されました。今日参加できなかったメンバーも数名いらっしゃいますが、このメンバーで半年間進んで行きます。

第一回は”表現することで繋がる学”です。これまでのUDTFは座学的に聞いてもらいその内容から何かを得るというスタイルでしたが、今回からはより講師と受講生ができるだけ対話をしながらワークをやっていきたいと飯田さんの挨拶から始まりました。

●とりあえず表現してみる
ここで楽団さんが「じゃ、とりあえずやってみます」と言うと、なんとラップが始まりました。単にラップを歌うわけではなく約5分間ラップでライブ自己紹介をするという衝撃的な内容には思わず受講生もビックリ。自己紹介の内容と表現力高さに圧巻されます。

これまでとは違うスタイルが繰り広げられるUDTF。それぞれの活動についても、初めから2人の対話形式で進んで行きます。

●ラップ活動のターニングポイント
楽団さんのラップ活動でのターニングポイントは、結婚して子供が生まれたこと、震災、そしてUDTF学長・豪太さんと享子さんの結婚式の3つだそうです。結婚式では余興でラップをしてほしいと頼まれ、会場のDJもいつの間にかやっていました。すると地元の水産加工会社の社長さんなどから「これは何をやっているの?」と質問され、概要を説明すると「面白いね〜!!」と非常に好評でした。そのとき、DJを知らない人たちに経験する場を与えたいと思うようになります。そこからなんとビジネスコンテストに出場し、見事事業費として50万円を獲得。機材を揃えグッズを作り”寿ダンスホール”をオープンしますが、紆余曲折あり1日で終了。しかしこの経験からどこでもダンスホールは作ることができると確信し、ふとん屋さんの倉庫を借りてダンスホールにしたり、花火が見える場所で野外ダンスホールを作ったりと各地で活動を行っています。

●僕と楽団
飯田さんと楽団さんは普段の仕事内容や活動範囲は全く異なる2人ですが、ヒップホップを通じて出会いました。きっかけは東日本大震災直後に収録された被災地の現状を訴える楽団さんの映像を見たことです。当時まだ復旧作業も半ばの状態で公開された動画は、たまたま目に入った飯田さんに衝撃を与えます。それからしばらく経ち、震災後初となる石巻最大のお祭りである”川開き祭り”で飯田さんたちは野外映画上映会をとりあえずやってみていました。そこに楽団さんが訪れ出会いを果たします。これが様々な活動を共に行うきっかけとなり、冒頭にあった寿ダンスホールの立ち上げを共に立ち上げました。

●寿ダンスホール
自分たちの夢の事業を語り合う方式のプレゼン大会に出場し、見事50万円を獲得します。飯田さんは当時のことをラッパーならではの独特の訴え方でとても魅力的だったと話します。楽団さん自身この体験から、お金がないということは何かを始める時の”できない理由”にはならないことを学んだそうです。機材を揃え、自分たちで建物の中を整備しなんとか体制を整えます。いろんな人達との出会いがあり、ラッパーとしての意識も寿ダンスホールを通して変わって日常の些細な光景や感情がざわっとした時のピントをあわせるための手段に変わって来たそうです。

●WHO AM I? / WHY ARE YOU HERE?
ここに集まった人たちには何か理由や目的があるはいずです。自分は何者なのか、どうして今日ここに来たのかを整理する手段として、HIPHOPの作法にしたがって表現を行うワークショップが始まりました。今回大切なのは韻を踏んで自己紹介を作るということです。ラップは簡単に言ってしまえばおしゃべりですが、おしゃべりと音楽を行き来するための道具が韻だそうです。韻を踏まないと、ただリズミカルに喋っているだけになってしまいます。そして、大切なのは1小節を15文字以内に収めるということです。これ以上はどんなに滑舌が良くてもしゃべることはできないので、収めることでリズムよく話すことができるようになります。

約30分かけてがそれぞれ自己紹介を完成させました。直前の楽団さんの講義もあってか皆さんかなりレベルの高い自己紹介に仕上がっており、これには講師陣も驚き。おそらく参加前は「なぜラップを作るんだろう?」と考えていた人も多いと思いますが、やってみると「関係ないと思っていた単語が大切な言葉だった」、「自己紹介は型にはまったものをずっと使ってきたので、その型を破って自分を表現できたのが気持ちよかった」と感想が出て来て、かなりの高評価を受けました。

大好評の内に第一回のUDTFは終了。とりあえずやってみることを間近に体感できる、パワーのある会でした。次回は10月11日(金)19:00からです!詳細はこちらから。
https://www.makigumi.org/udtf