「網地島の認知度を上げたい!」情報発信スペースとして休憩所を開設|鈴木康文|石巻市地域おこし協力隊

 当初は令和5年8月から、太平洋上の網地島という離島振興作業と移住体験施設の運営管理という名目で地域おこし協力隊になったが、その作業は諸事情により令和7年3月いっぱいで終了。それと同時にまったく違うプロジェクトとして、昨年末から古民家を利用したパブリックな休憩所作成を開始し、そこを離島振興作業の拠点として利用することになった。

 現在、4月末ゴールデンウィーク突入時でその休憩所機能は動き始め、仮設ではあるもののトイレも設置し、庭を利用したコーヒーやお茶が飲める、無料休憩所スペースとして誰もが利用できる状態。

 さすがに飲食店のような営業は無理があるため、自分でコーヒー等を淹れて飲むセルフカフェスタイルだが、島民来島者問わず楽しんでもらえたらと考えている。もちろん、来島者さんには意識調査を兼ねたアンケートに答えていただけると、担当としては誠に嬉しいわけである。

 これまで移住体験施設で設置していた衛星通信によるインターネット環境も移設再構築しフリーで開放。ここ最近はその実績もあるのか何だか、網地島とお隣の田代島における衛星通信インターネットの相談が途絶えない。

 田代島に負けず劣らず網地島も意外と猫島なのだが、こちらは容赦無く無料休憩所に侵入しくつろいでくれていたりするのだが、通りすがりの人様の方はどう見ても個人宅に見えるそれのせいか、写真は撮っていたりするものの中まで足を運んでもらえないのが悩みでもあったりする。まだまだ周知がまったく足りていない。

休憩所“休み処”は長渡浜から県道を250mほど上がった所にあり、風が無ければオーニングを張って日陰をつくり、舟待ちの間くつろいでもらえる環境を用意

 基本古民家あるあるで、有り余るほぼ利用価値の無い残置物と廃材の山をフル活用し、最低限必要なパーツと資材以外は購入なく、水道設置から構造物の構築など3ヶ月かけひとり工務店で何とか形になったと思われる。

 とはいえ相当な部分で島民の協力も得ていたのは事実で、そんな中「観光客が軽食もできたらいいね」という声が出てきて、それはちょっとハードル的にはまずいのでは?を感じつつもインスタント食品の販売は試験的にやってみようということに。

庭の利用だけでなく、雨の日には少人数なら利用できる小さなカウンターキッチンを土間に用意してみた。もちろんネットはフリー開放で、リモートワークでも楽勝の環境だし、貸出用PCも用意する
セルフカフェのため、材料の販売だけで道具と食器類とお水はこちらで用意し、あとは自分でやってもらうスタイル

 1年半のあいだ移住体験施設の運営をしていて分かったのは、網地島のような極端な離島環境に興味を持つのは、高い年齢層ではなく言ってみれば若年層か中年まで。

 そして彼らは皆、インフラの不自由さは最初から理解していてその部分での快適性は求めていないこと。しかし絶対条件として、インターネット接続環境とその容量速度は必須としていたことだ。

ここ数年、網地島をトレッキングしにくる海外勢も目立つように。写真はカナダから1ヶ月日本中を歩くという青年

 実はこの外から離島に興味を持つひとたちと、その離島で生まれ育ち現在高齢化を迎えている島民との意識の間には、とんでもなく深い谷がある。

 今後は、その意識的格差を地域おこし協力隊として残された期間でどれだけ埋めていけるか?求められていないものをいかに当たり前のものとして認識してもらうかが当面の課題となりそうだ。

鈴木 康文
1964年生まれ。東京都出身。父が老後に網地島へ移住した縁で島と関わりを持つようになる。キャンピングカー専門誌のライターを続けながら島に通い、2023年8月から「網地島での離島振興」をミッションに隊員活動中。

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