突然ですが、私の趣味は本屋巡りです。
特に「独立系書店」と呼ばれる、店主さんの選書が光るユニークな本屋さんを巡ることが大好きで、全国いろんな本屋さんめがけて旅行しては積読を増やしています。
このような本屋さんの魅力は、ジャンルの偏りやセレクトの癖にあると考えています。店に入った瞬間、その空間をつくったお店の方の「推し」や「こだわり」が伝わってくると、なんだか嬉しくなるんです。
一見、趣味である本屋巡りと私が普段取り組んでいる「若者の地域での持続的な成長支援モデルの確立」はあまり関係ないように思えます。
しかし、最近ふと「つながっているかもしれない」と思う部分を見つけました。それは「キュレーション」が大切であるという点です。

先日、岩手県紫波町の日詰商店街で開催された「本と商店街」というイベントに行ってきました。テーマは「本とローカリティ」。全国から個性豊かな本屋が集まり、商店街が本やコーヒーなどを持った人たちで溢れます。私は2年連続で訪れていますが、行くたびに「やっぱりこういうの、いいなぁ」と感じます。(めちゃくちゃ面白いイベントなのでぜひ!)
このイベントにはまさに「キュレーションの力」を感じる場所がたくさんあります。世の中にある、いろんな本から店主が選んだ「これぞ!」という本が並ぶことで、「ああ、この世界観、好きだな」と思える空間が生まれる。そこには、単なる情報の羅列ではない、誰かの「視点」と「想い」がある。しかも、それを「楽しく」「自分ごと」としてやっている。

「キュレーション」とは難しく言えば「テーマや価値観に基づいて情報を選び、編集し、意味を持たせて伝えること」なんですが、もっとラフに言えば「これ、面白いんだよ!」と誰かに熱をもって伝えること。つまり、自分の「好き」について誇りをもって誰かに語りかけることなんじゃないかと思うんです。
これって、若者が地域で育っていくことにも通じるのではないでしょうか。
若者が地域で成長するためには、挑戦できる機会や応援してくれる人ももちろん大事。それと同時に、「もっとやってみたい!」という気持ちを引き出してくれるような環境がとても重要なんじゃないかと考えています。
そんな気持ちを引き出すには、自分の好きなこと・面白いと思うことを「楽しそうに伝える人」がいることが大切なのではないかと思います。実際、私も「面白そうなことをやってる大人がいた」から、石巻に関わるようになりました。
別に意識が高くなくてもいいし、大きな目標を掲げていなくてもいい。ただ、自分の好きを語れる人がいて、楽しそうにしてるだけで、「なんか自分にもできるかも」と思える。
そんな空気が若者の背中を押す気がしています。

若者の「もっとやってみたい!」という気持ちは、誰かに与えられたりするものではない。でも、そのきっかけを地域の中につくること、つまり、「これ面白くない?」「一緒にやろうぜ!」と伝えてくれる大人が増えていくと良いなと思います。
最近は、私自身もそんな大人の一人であれたらと思っています。自分の好きを紹介したり、一緒に動いてみたり。堅苦しくなく、できるだけ「自分も楽しむ」ことを大事にしながらこれからも活動していきます。

市川 達博(いちかわ たつひろ)
1998 年生まれ。登米市出身。大学院在学時に石巻に通いつめ、卒業後も石巻に関わり続けるために2024 年 1 月から地域おこし協力隊となる。ミッションとして「高校や地元企業と連携した、若者の持続的な成長支援モデルの確立」を掲げ、自身も石巻の若者の一人としていろんなことに挑戦中。