地域おこし協力隊って?

「地域おこし協力隊って?」

 石巻市の地域おこし協力隊員が活動を紹介している本連載ですが、本日はそのサポートを行っている者が「そもそも地域おこし協力隊って?」について書かせていただきます。

 我が国は人口減少が進み、2050年には石巻圏域の人口は2020年比で6割程度まで減少すると推計されています。この人口減少を背景に国は地方創生を掲げ、その中核として人口減少対策を行っているのです。ときどき勘違いをなさっている方がいますが、ここでいう人口減少対策を行っても2~30年レベルで人口が増えることはありません。せいぜい40%減少するところを30数%の減少で食い止めるとか、そういう話です。地方創生における人口減少対策の肝は、人口を増やすことではなく、止められない人口減少を前提にどう社会を維持するかというところにあるのです。

月に一回隊員が集まる定例会の様子

 そもそも人口が減少して何が悪いという方もいるかもしれません。確かに、食料やエネルギーを奪い合う人口爆発に比べれば悲劇の度合いはましかもしれません。しかし、人口の減少=お金の減少によりインフラの維持が難しくなるというのが一つあります。そして何より、石巻のような”地方”では特に「地域力の維持」がままならなくなっているのです。皆さんの周りでも、いつまでも町内会の役員を交代してもらえないとか、お祭りの担い手がいなくなって寂しいとかないでしょうか。それすなわち地域力の維持が困難になっていることであり、防犯や防災の面でも課題をもたらします。

 地域おこし協力隊は、都市部の住民が地方に移住し「地域協力活動」に従事する取り組みで、隊員には最大3年間初任給程度の人件費が支払われます。

 人口減少を前提とする社会において自治体間で限られた人口を奪い合ってもあまり生産的ではありません。重要なのは移住者を含む一人一人が地域にもたらすインパクト(影響・効果)です。そういう文脈で昨今では「関係人口」という概念が注目されたりしているのですが、「地域協力活動」を従事内容とする地域おこし協力隊にも単に人口が1人増える以上の意義があるのです。

隊員に出演いただくラジオ番組

 また、地域おこし協力隊の特徴の一つに「非専門家」の人材派遣であるということがあります(地域おこし企業人など専門家型人材派遣の制度もあります)。非専門家というとネガティブに聞こえるかもしれませんが、非専門家だからこそ協力隊員一人でどうにかするのではなく地域の方含む多くの方の協力を得て物事に取り組む必要があり、結果としてそうしたプロセスが縮小均衡にある地方においては専門家の支援以上に地域を動かすきっかけとして有効になりうるのです。

 このように、地域おこし協力隊には人口を1カウント増やす以上の「地域力向上」というインパクトを期待することができ、そうした協力隊員を活かすためには地域とつながっていただくことが必要です。本連載にも登場しますが、石巻市には魅力的な協力隊員が増えつつあります。皆さまぜひ協力隊員に注目し、つながってみてください。

松村 豪太
面白い人が活躍できる街にする共同事業体
(石巻市地域おこし協力隊事務局)

1974年石巻市生まれ。東北大学法学部・同大学院修了。被災地からクリエイティブなローカルのプロトタイプ創出を試みるISHINOMAKI2.0を立ち上げ、「面白い人が活躍できる街にする共同事業体」として石巻市地域おこし協力隊のサポートを実施。総務省地域力創造アドバイザー。

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