はじめまして、石巻市復興企画部SDGs移住定住推進課の横向と申します。令和6年4月から地域おこし協力隊や移住定住の担当をしています。
実は私自身、かつて「地域おこし協力隊になりたい」と思っていた時期がありました。東日本大震災で防災やまちづくりに関心を持ったことをきっかけに、人や地域に関わる活動に惹かれ、ボランティアに参加し、NPOの取り組みにも目を向けるようになりました。そのような中で「地域おこし協力隊」制度を知り、当時とても魅力的に映ったことを今でも覚えています。
「地域おこし協力隊」は一言でいえば「移住して地域のために活動する人」ですが、実際はそんなに単純なものではありません。生活環境を変えて、新たな土地に飛び込み、人間関係を一から築きながら、地域の課題解決にも取り組む―これは並大抵のことではありません。今、担当として隊員の姿を間近で見ていると、そのたくましさに日々感動します。

だからこそ、行政担当として、そして一人の人間として、私は全力でサポートしたいと思っています。外出の際はなるべく隊員の活動先に顔を出し、姿を見かけたら積極的に声をかける。悩みを抱えているようであれば、サポート業務を委託している事務局に任せきりにせず、私自身も面談に同席し、時には一緒にご飯を食べたりすることもあります。活動を終えたOB・OGとも交流を続けており、起業に向けたプロジェクトに参加し、休日に顔を出すこともあります。こうした積み重ねが、信頼と安心につながると信じているからです。
担当になった当初、隊員のサポート体制は十分とは言えず、隊員間にも不満が募っていました。令和6年7月、隊員の受入支援・サポート業務を委託し、新たに事務局を設置したことを皮切りに、改善に乗り出しました。月に一度、隊員・事務局・行政が集まる定例会に加え、3か月ごとの三者面談を設置。私自身も、各隊員と早期に信頼関係を築くため、意識的に接点を増やしました。

結果的に、令和6年度に卒業された隊員の方に「横向さんが来てから変わった。もっと早く出会いたかった。3年目の担当が横向さんで良かった。」と言っていただけたことは、今の私にとって宝物です。
また、変化はサポート体制だけでなく、新規隊員募集の応募数にも現れました。担当を引き継いだ当初、「募集しても応募が来ない」と聞かされていましたが、当時の募集記事は石巻の魅力や活動内容がほとんど伝わらない内容でした。まずは写真を増やし、「募集の意図」「実際の活動の様子」など、隊員希望者が本当に知りたい情報を詰め込んだ記事を事務局と共に作成しました。その結果、1か月で10件の応募があり、現在では担当当初から+14名の新たな隊員が着任または着任予定となっています。
隊員が増えるたびに、多様な視点が地域の変化を生み出し、にぎわいが増していることを実感しています。こうした変化を支える基盤を築き、挑戦しやすい環境を整えることが行政の役割だと考えています。
私もまた、隊員やOBOGの皆さんから多くの刺激をもらいながら、今後も共に歩み続けたいと思います。小さな一歩を積み重ね、石巻がより魅力ある地域になるよう、これからも力を尽くしてまいります。

横向 杏海
石巻市復興企画部SDGs移住定住推進課
岩手県花巻市出身。震災がきっかけで防災やまちづくりに関心を持ち、公務員を志望。震災学習を通じて石巻に惹かれ、就職を機に移住を決意。観光、空き家対策の担当を経て、移住や地域おこし協力隊の担当を志望し令和6年4月から現部署に所属。