「まず地域を知ること」
隊員になって、あっという間に半年が経ちました。
私は今、渡波地区にあるNPO法人こども∞感ぱにーで、体験型子ども食堂に向けた野菜づくりや、プレーパークの運営、地域子ども食堂の運営などに取り組んでいます。


この半年を振り返ると、一番大きかったのは人との出会いでした。プレーパークに遊びに来る子どもたちや地域の大人。地域子ども食堂を支えるお母さんたち。外部でつながってくれた農家や漁業関係者の皆さん。そして、同じように石巻と向き合う協力隊の仲間たち。

最初の頃は、「自分に何ができるだろう」「どんな形にしよう」と、そんなことばかり考えていました。でも今は、それよりも先に大切なことがあるように感じています。
まだ移住してきて一年足らず。この地域にはどんな歴史や思いがあって、どんな人たちがここで暮らしてきたんだろう。活動をしながら、そんなことを知りたいと思うようになりました。
2月の大吹雪の日のプレーパークでのことです。
極寒で来場者も少ない中、散歩中の近所のおじちゃんが立ち寄ってくれました。今にも消えそうな焚火の前で話をしているうちに、その方の人生の話になりました。
その方は、子どものころから渡波にいて、中学校を卒業すると造船関係の高校へ進み、最初は鉄工所で船の部品をつくる仕事に就いたそうです。その後、造船の仕事へ移り、小さな船の設計から始め、やがては大きな船の設計も任されるようになったそう。
そして、「自分が設計した船が、今でも石巻の海で働いているんだ。」と誇らしげに話してくれました。その話を聞いたとき、「え、そんな人が目の前にいるんだ。」とビックリ。
こんな壮大な人生を歩んできた人が、この地域にはいる。まるで映画みたいだ…!と思ったことを、今でもよく覚えています。
帰り際、その方は笑顔で、
「聞いてくれてありがとう。これからもここにいるの?ずっとここにいてよ!」
と言ってくれました。
その言葉がすごく嬉しくて、本当に寒い日だったけれど、「今日ここにいてよかったな」と心から思えました。
また、4月には地域の方とのご縁から、お家の畑を貸していただくことになりました。

私が「野菜づくりから始まる子ども食堂をやってみたい」と話すと、
「あんまり急ぐな。おだずもっこでやるんだ」
と笑いながら背中を押してくれました。農具を貸していただき、苗を分けてもらい、今も変わらず見守っていただいています。
畑も私にとっては、やりたいことへの第一歩です。でも、それ以上に嬉しかったのは、人とのつながりができたことでした。
プレーパークも、畑も、子ども食堂も、一度で何かが大きく変わる活動ではありません。
けれど、続けていると少しずつ人と出会って、その人たちが地域のことを教えてくれます。半年やってみて、一番大きかったのは、そういう出会いだった気がします。
一年目の今は、自分がやりたいことを急いで形にするよりも、まずは石巻を知ることを大切にしたい。そうやって出会った人たちから教えてもらったことを、一つずつ自分の活動に生かしていけたらと思っています。

菅原 遥
認定NPO法人こどもむげん感ぱにー(受入先)
宮城県利府町出身。小学生の頃の不登校経験をきっかけに、「子どもが安心できる居場所をつくりたい」という思いを抱く。2025年9月から認定NPO法人こども∞感ぱにーでプレーパーク事業に参加。12月に隊員となり、食と遊びを通じた子どもと地域をつなぐ場づくりに取り組む。
